「知ってトクするコラム」
『第6回:口腔がんの治癒率』
このパートでは、口腔がんについて、疫学、病理、治療、そして予防の解説を
順次行っていきます。
時折、最新の耳寄り情報も加えますので、知ってトクするコラムとなります。
ご覧の皆様が『口腔がん通』になること請け合いです、ご期待ください。
さて、第6回は、以下のことをお話しします。
日本の口腔がんは、国民10万人に対して6~8名以上の発症率となりますが、
日本の胃がん、肺がんなど28種のがんの中で12番目の発症率、
そして、予後の順番では20番目という治りにくいがんになります(前述)。
今回は口腔がんの治癒率について解説します。
全国がんセンター協議会の報告によれば、口唇・口腔・咽頭がんの5年生存率は、
ステージ別に見ますと、
・1期(大きさ≦2cm and深さ≦5mm) :80.3%、
・2期(大きさ2cm< and 5mm<深さ≦10mm、大きさ≦2cm and深さ≦10mm):67.2%
・3期(4cm<大きさor 10mm<深さ、リンパ節転移):53.4%、
・4期(隣接器官へ波及、リンパ節転移):38.9%
となっています。
口腔がんに限っては、
・1期:93%、
・2期:80%、
・3期:70%、
・4期:60%
とする報告が多く、早期発見の効果が立証されています。
そのため(罹患者数が少ないため)胃がん等の国が推奨するがん検診の対象となっていませんが、早期発見による治療法は確立しているため、検診活動の意義はあります。
進行すれば、生命の危機を回避できたとしても、咀嚼、会話、審美など多くの負担を強いることになります。
口腔がんは、早期発見、そして、早期治療が成立つ癌なのです。