日本人の死亡原因のNo.1は「がん」によるものです。(図1) そして、その「がん」の中で、部位別の死亡率が右表(表1)です。


1位は「膵臓がん」で、罹患者(がんになった人)に対する死亡率は約95%となっており、まさにかかってしまったら終わりというがんです。
一方、目に見える部分に発生する「皮膚がん」は発見も早く、従って死亡率は約10%というデータが出ています。
では口腔がんは?と言うと、10位に位置し、死亡率は46.1%となっています。 口腔は皮膚がんと同じく、目に見える箇所にも関わらず、これは驚きの現状です。
11位以下を見ると、13位の腎臓、14位の膀胱、15位の胃、16位の子宮頸部、17位の直腸、19位の乳房、21位の前立腺と聞き慣れた部位があり、それらはすべて口腔がんよりも生存率が高いのです。
さらには、図2と図3で示す通り、口腔・咽頭がんの患者数は増加傾向であり、加速しているとも言えます。
では、一方世界ではどうなのでしょうか。


WHO(世界保健機構)
死亡率は世界のがんの中で第7位を占め、その8割が、南アジアの開発途上国に集中
早期診断を推進するための教育と健診の強化を重要課題としている
Oral cancer screening として口腔がんを4番目に設定している
FDI(国際歯科連盟)
あらゆる口腔医療専門職は口腔がんの早期発見と患者教育において重要な役割
煙草を完全に禁止することにより口腔がんの進行リスクを大幅に減らすことができる
酒とタバコによって15倍のリスク要因となる
Cochrane review
視診と触診の口腔がん検診は感度と特異度ともに80%以上
口腔がん集団検診は死亡率減少というEBMに乏しい
Chchrane(コクラン)計画とは、治療と予防に関する医療情報を定期的に吟味し人々に伝えるために、 世界展開している計画。1992年にイギリスの国民保健サービス(NHS)による根拠に基づく医療政策と実践、またその定量的な評価の一環として開始。
世界では、WHO(世界保健機構)から口腔健診による口腔がんの早期発見の促進勧告が出ていることもあり、なんと世界の先進国で口腔がんの死亡数が増加している国は日本だけなのです。(図4)

2013年のアメリカでの口腔がんの罹患数は、41,380人と日本の約2.7倍の数ですが、死亡数は7,900人であり、日本の死亡数とほぼ同水準です。これは、米国の死亡率が19.1%と日本(46.1%)の半分以下だからであり、もし日本でもこの死亡率まで低減することができれば、年間で約5,000人以上(2014年推測データから)の命を救うことが可能となるのです。