がんに限らず、どのような疾患も「早期発見・早期治療」が大切です。欧米では口腔がんの早期発見・早期治療を国民に呼びかけ、取り組んだことで、死亡率を大幅に減少させました。口腔がんの場合、初期段階(ステージⅠ)で治療をすれば5年後の生存率は97%以上です。(東京歯科大学様治療実績より引用)浅い口腔がんであれば切除範囲も小さくて済むため、大きな後遺症はありません。
口腔がんの治療法には手術・放射線・抗癌剤の3つがありますが、最も有力な治療法は手術です。小さながんは簡単な手術で治すことができ、入院の必要がないものもあります。
しかし、進行がんの5年生存率は初期がんと比較し、20%以上も下がります(東京歯科大学様治療実績より引用)。病状にもよりますが、がんを完全に取り除くために舌や顎を切除する可能性があります。このとき患者さんの骨や皮膚を移植して再建しますが、容貌が変わる、感覚が麻痺する、味覚が失われる、噛めない、飲み込めないなど、後遺症が残ることがあります。命こそ助かるものの、その代償は想像以上に大きなものとなるのです。「早期発見・早期治療は人生を大きく変える」と言っても決して大袈裟ではありません。
がん化する可能性のある白板症と紅板症
口腔がんを引き起こす要因はさまざまですが、口の中に白い斑点(白板症)がみられた場合、3~5%の確率でがん化する可能性があります。また、粘膜のただれ、赤い斑点(紅板症)は白板症よりも高い確率でがん化するといわれています。これら白板症と紅板症を前がん病変と言い、速やかに治療を行う必要があります。